- ASPICEアセスメントを改善する施策をじっくり考えてアンケートの感触もいい案が出たんだけど運営になんか伝わらんかった件
- (1)ASPICEの目的はなんですか?
- (2)ASPICEアセスメントに関する観察と経験
- (3)アンケートデータ(Fact)
- (4)プロジェクトコンテキストについて
- (5)クライテリアクライテリアクライテリア!(Fact)
- 【コラム】ASPICEアセスメントの課題整理: 定性的判断基準、透明性、効率性、コスト、反論のしにくさ
- (6)これまでのアプローチとマッピング
- (6)-①ASPICE Model
- (6)-②VDA Guidline
- (6)-③KGAS
- (6)-④Biz3 Guidbook
- (6)-⑤Lean Enablers for Automotive SPICE
- (6)-⑥Interview script
- (6)-⑦Rating sheet excel
- (6)-⑦-1 YABAIBP
- (6)-番外編1:アセッサー固定戦略
- (6)-番外編2 コンサルティング
- (6)-番外編3 インタビュートレーニング(プレアセスメント)
- (7) Sharing Context-Based Assessment Criteriaの実装手段検討
- (8) Sharing Context-Based Assessment Criteriaの概要
- (9) クライテリア生成のためのAIツールの試行と評価
- (10) 利点と欠点
- 謝辞
ASPICEのアセスメントには、さまざまなストレスが存在します。時にそれは不満となりますが、あまりアセスメントのプロセスで拾われることはありません。なんとか不満となる前に改善できないだろうか。実際にアンケートを実施して、ひとつの対策案を考察しました。
それで、Asian SPICE Conference(ASCON)の一般発表に応募したんですが、思いがけず「不採択」の連絡を頂きました。本件は本質的な改善のアイデアだと思っていたのでとても残念です。アジアの友人たちと意見交換するチャンスだと思っていたのですが。まあそれで、準備していた内容の行き場がなくなってしまったので、このブログでまとめていきたいと思います。
(どうやら「クライテリアはしばしばアセッサーの主観に依存し」という問題設定が主催者側に受け入れられなかったのだと思われます。アセッサーのチーム化や、ガイドラインなどでモデルを補完して評定の再現性を高める努力をしているのは理解しますが、これはアセッサーが人間である限り永遠の課題、事実として認めるべきだと思うんですけどね)
ではまず、実際のプロポーザルの紹介から。次回以降にコンテンツの内容に入っていきます。キーワードは「Criteria」です。
■タイトル
Enhancing ASPICE Assessment Satisfaction through Sharing Context-Based Assessment Criteria.
■要旨
Automotive SPICE® assessments are a critical tool for evaluating the maturity of software development processes in the automotive industry. However, the criteria used in assessments often depend on the assessor’s subjectivity, leading to discrepancies in understanding between the assessors and the assessed parties. This presentation proposes a methodology for generating assessment criteria based on the project context beforehand and sharing them with the assessed parties to resolve this issue. This approach aims to increase the transparency of assessments, build trust between assessors and assessed, and ultimately improve assessment satisfaction. Additionally, the potential for generating criteria using AI tools is discussed.
■想定する聴衆
- Automotive SPICE Assessors
- Project managers and engineers undergoing ASPICE assessments
- Process improvement personnel
- Software quality assurance staff
■発表内容
1.背景
- Ambiguity in ASPICE assessment criteria
- Assessee dissatisfaction with assessment outcomes
- Challenges for improving transparency and reliability of assessments
2.目的
- Generate and share assessment criteria based on project context
- Improve transparency and reliability of assessments to increase satisfaction
- Explore the potential for generating criteria using AI tools
3.内容
- Generating criteria considering the project context during the assessment planning
- Sharing generated criteria with the assessed
- Integrating assessment plans with project plans
- Trialing and evaluating AI tools for criteria generation
4.効果
- Increased transparency in assessments
- Greater assessee satisfaction with assessment outcomes
- More efficient assessments
- Increased overall satisfaction with the assessment process
5.課題と今後の取り組み
- Improving the accuracy of AI-generated criteria
- Developing criteria generation models adaptable to various project contexts
- Validating the appropriateness of generated criteria
6.参考文献
- ISO/IEC 33004: Software engineering — Information technology — Process assessment
- “Automotive SPICE 4.0_実践ガイド”(日経BP, Biz3)
- “Lean Enablers for Automotive SPICE 真の価値を生み出すプロセス実践ガイド”(風詠社,河野文昭、他5名)
日本語訳
■タイトル
ASPICEアセスメントの満足度を向上させるためのコンテキストベースのアセスメントクライテリアの共有
■要旨
Automotive SPICE® アセスメントは、自動車産業におけるソフトウェア開発プロセスの成熟度を評価するための重要なツールです。しかし、アセスメントに使用されるクライテリアはしばしばアセッサーの主観に依存し、その結果、アセッサーとアセッシーの間で理解の相違が生じることがあります。本発表では、プロジェクトのコンテキストに基づいて事前にアセスメントクライテリアを生成し、それをアセッシーと共有する方法論を提案します。このアプローチは、アセスメントの透明性を高め、アセッサーとアセッシーの信頼関係を築き、最終的にはアセスメントの満足度を向上させることを目的としています。さらに、AIツールを使用してクライテリアを生成する可能性についても議論します。
■想定する聴衆
- Automotive SPICE アセスメント担当者
- ASPICEアセスメントを受けるプロジェクトマネージャーおよびエンジニア
- プロセス改善担当者
- ソフトウェア品質保証スタッフ
■発表内容(発表原稿に記載する予定の内容)
- 背景
- ASPICEアセスメントクライテリアのあいまいさ
- アセスメント結果に対するアセッシーの不満
- アセスメントの透明性と信頼性を向上させるための課題
- 目的
- プロジェクトコンテキストに基づくアセスメントクライテリアの生成と共有
- アセスメントの透明性と信頼性を向上させ、満足度を高める
- AIツールを使用したクライテリア生成の可能性を探る
- 内容(具体的な内容や活動,実施方法)
- 評価計画中にプロジェクトコンテキストを考慮したクライテリアの生成
- 生成したクライテリアをアセッシーと共有
- アセスメント計画とプロジェクト計画の統合
- クライテリア生成のためのAIツールの試行と評価
- 効果(期待効果)
- アセスメントの透明性の向上
- アセスメント結果に対するアセッシーの満足度の向上
- より効率的なアセスメント
- アセスメントプロセス全体の満足度の向上
- 課題と今後の取り組み
- AI生成クライテリアの精度向上
- 各プロジェクトコンテキストに適応可能なクライテリア生成モデルの開発
- 生成したクライテリアの適切性の検証
- 参考文献
① ISO/IEC 33004: ソフトウェア工学 — 情報技術 — プロセス評価
② 「Automotive SPICE 4.0_実践ガイド」(日経BP, Biz3)
③ 「Lean Enablers for Automotive SPICE 真の価値を生み出すプロセス実践ガイド」(風詠社, 河野文昭、他5名)